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  • 執筆者の写真BiZoom

民主主義を脅かす最大の脅威? ソーシャルメディアの新たな現実

更新日:2020年4月19日

えっ、インターネットが民主主義を空中分解させる?何か手立てはないの・・・?


この記事のタイトルを見て、そう思った方もいるかもしれません。

インターネットが登場してからの既に20年以上、私たちの日常も大きく様変わりしました。世界はまるで目に見えない電線を四方八方に張り巡らした莫大な巨大情報網の中にあり、ありとあらゆる情報に晒されています。私たちは既に未知の次元の社会へと足を踏み入れています。


では、インターネットを持たない社会・・・、インターネットがここまで普及する前までの社会ではどうだったでしょう?

これまでも私たちの民主主義の社会では、いつでも自由に様々な情報にアクセスできました。少なくともそう信じてきました。でも本当にそうでしょうか?


よくよく考えると、私たちがアクセスできる情報の多くは、いつもメディアという媒体を介していませんでしたか?そうだとすると、私たちは、様々なメディアが発信する情報を一方的に受信してきたに過ぎないのかもしれません。もし、そのメディアが情報を巧みにコントロールしていたとするとどうでしょうか?


私たちが見てきた現実は、メディアというフィルターを通して届けられた情報により色付けされた世界だったとも言えます。メディアが私たちに与えてきた影響は小さくはありません。それは、ある意味、メディアに支配された閉ざされた世界でもあります。


しかし、それもインターネットの登場で大きく変わりました。


私たちは今、インターネットいう自分自身のメディアを手に入れました。メディアが一方的に発信する情報の中で、声も上げられず、自分を表現できない人たちでさえ、今は自由に情報を発信することができます。メディアという見えない支配的な圧力から解放されたのです。少々大袈裟な表現に聞こえるかもしれません。しかし、私たちが自由に使えるメディアを手に入れたということは、私たちの社会の根底にある民主主義の変革にも影響を与えています。


今や民主主義は投票箱の中からだけ動くものではありません。民主主義はオンラインという新たなシステムを手に入れ、その中でも動き出しています。

ハーバード・ロースクールのYochai Benkler教授は、「この新たなネットワークは、ボトムアップによる意思決定を促し、国籍や社会的地位、性別や年齢などあらゆる制限を排除した世界規模の情報アクセスを容易にし、国や行政の影響力からも解放するもの」と言っています。さらに「この新たな公共ネットワークは、私たちの周りの至る所に張り巡らされた通信網により、主要なメディア・リソースにアクセスすることなく、いつでも自由に意見を発言し、誰かに問い合わせ、あらゆることを調べることができるのが大きな特徴」とも言っています。

インターネットは社会の様々な関心に対し、より多くの人の参加を促し、自由に意見や情報を発信し合うことで、世論という動きや力を作り上げます。その一方、そこには様々な異なる環境、価値観、思想の違いなど、社会の多様性、多面性も潜んでいます。

通常、世論とは長い時間をかけて形成されます。数カ月、長い場合は数年の年月をかけて成熟し、形成されるものです。様々な違いを総括して均していく期間が必要です。

しかし、インターネットの世界ではこの常識が覆されます。例えば、1000人が一つのトピックについて一斉にツイートすれば、ネットが騒がしくなります。そこで何かが起きていることは明らかです。すると、さらに多くの人がツイートし始め、瞬く間に話題は広がり、さまざまな意見、関心、利害、立場や知識を持つ者たちが、自由に情報を発信し合い、ネットと言う場で議論が沸き上がります。そこに大きな風やうねり、動きが起きます。こういうことが全て1日のうちでも起きてしまいます。昨今のインターネットではそう珍しいことではありません。

果たして、そこにコンセンサスという概念は形成されているのでしょうか?議論は成熟しコンセンサスになっているのでしょうか?

答えはNOです。

インターネットでは、ある動きや風、ムードやトーンを一瞬で作り上げることはできます。しかも、それは大きな力にすらなります。中東で起こった数々の民主化への動き、アメリカの一つの町で起こった警官による暴行事実が全米に大きな暴動を巻き起こす現実・・・など、インターネットの影響は少なくありません。ネット空間の "バーチャル" な世界の動きが、私たちの "リアル" な世界の動きにもなります。

ただ、そこでコンセンサスが作られているとはどうしても言い難いのです。むしろ、逆にコンセンサスを作り上げることをより難しくしています。それは成熟な議論に基づく総括やコンセンサスではなく、個々の本来の意見や価値観はどこかに追いやられ、突然発生した竜巻のうねりのようなものです。


このように、インターネットという新たな情報網に包囲された社会では、一定のコンセンサスがないままに世論が動き出し、物事が形成されていくのです。

これを「コンセンサスのない同意」とでも表現すべきなのでしょうか・・・?(「コンセンサス」と「同意」は本来同じ意味です。「コンセンサスのない同意」とは意見の違う者たちが、ある渦の中で、まるで同意しているかのように一つの風に動かされる様子を表しています。ソーシャルメディアでは「共感」というワードがよく使われます)。

これは、これまでの歴史が築き上げてきた、民主主義という制度や価値観を根底から変える大きな動きであり、私たちの社会の変革です。表面的には民意や多数の意見に見えていても、実はそうでなかった・・・そんなことがいろいろな場で起き始めています。ひょっとするとこれは、制度を作る側にとっては、民主主義に対する脅威に映るのかもしれません。長い時間をかけてコンセンサスを築いて作り上げたものが、いとも簡単に覆されてしまいます。

優秀なマーケッターはこの動きに敏感であり、このインターネットの特性を活かし、早くからソーシャルメディアマーケティングを展開し、大きな利益を得ています。ある種の "うねり" を起こすことで収益を上げています。同様に民衆の動きや民意、ポピュラリティに敏感な職業の方々 --- 例えば、政治家や芸能人など著名人 --- もインターネットを活用しています。アメリカの大統領選では、テレビのメディア戦略が勝利を左右する重要な要因とされていますが、近年、インターネット戦略がよりその重要性を増してきています。

インターネットは力を持たないものでも大きな動きをつくる、最強のメディアと言えるのです。

ただ、注意も必要です。そもそも成熟した議論を経ず、一定のコンセンサスもない「動き」は、一貫性を持たないという事です。ある日突然、別の風に流され、これまでとは全く違った動きになり、一斉にそっぽを向かれ、一気に冷めてしまうこともあります。

その時のムードで作り上げられた世論により、私たちの決定がミスリードされていることがあるからです。私たち一人一人が十分に考えるまもなく、その背景や本質を深く理解しようとすることなく、知らず知らずの間にネットの流れに乗ってしまい、誤った判断や行動をとる危険性をこれまで以上にはらんでいます。インターネットでは、個人が発する情報でさえ、そんな大きなうねりを作ってしまいます。私たちが築いてきたこれまでの社会の価値観を一瞬で変えてしまう、そんなことが個人の情報発信でも可能です。その点については、情報を発信する側も、また、受信する側も、しっかりと理解し、インターネットを活用する必要がありそうです。 ところで、最後に同じ問いかけをします。「ソーシャルメディアは民主主義を脅かす最大の脅威なのでしょうか?」。

おそらく、これまでのやり方やあり方から抜け出せない人にとっては最大の脅威になるかもしれません。ただし、新たな民主主義の到来と考えれば、それは挑戦であり、チャンスになります。

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